※ 以下には医療上必要な情報が公開してあります。
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「無痛」は俗称です。「和痛分娩」または「鎮痛分娩」とよぶのが適切かもしれません。
T'sでは、硬膜外麻酔または硬膜外+脊椎麻酔による鎮痛分娩を実施しております。
これらの手技はいわゆる「無痛分娩」にのみ行われる特別な手技ではありません。
帝王切開術を行う際には全例に「脊椎麻酔」を行いますし、ほとんどの例で「硬膜外麻酔」を併用します。
しかしながら、これから出産する妊婦さんに実施する場合には、母体と赤ちゃんと双方への影響を考慮しながらより慎重に麻酔を実施、管理する必要がございます。
これまで、鎮痛分娩に限らず「全脊髄クモ膜下麻酔」や「血液中大量投与による局所麻酔薬中毒」などの事故経験は一切ございません。ただしそれは「技術レベルが高い」ことを誇示しているわけではありません。
大切なことは、予期せぬ症状が患者様に起こった時に、その場でできることを適切に、かつ全力で対処できるかどうかだと考えています。
そのために機会があれば講習や実習を受けトレーニングを続けております。
分娩麻酔担当産婦人科医師:常勤2名
髙橋 剛
髙橋 純香
平成5年(1993年)~3年間 | 気仙沼公立病院(現市立病院)にて産婦人科研修開始 帝王切開術における腰椎麻酔、婦人科手術における全身麻酔を実施 |
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平成8年(1996年) | 岩手県立花巻厚生病院勤務 帝王切開術における腰椎麻酔実施 |
平成15年(2003年) | 竹田綜合病院 産婦人科勤務で硬膜外麻酔による鎮痛分娩の実施 |
平成17年(2005年) | 登米市立佐沼病院産婦人科勤務 帝王切開術における腰椎麻酔、婦人科手術における硬膜外麻酔の実施・全身麻酔を実施 |
平成19年(2007年) | T'sレディースクリニック開設 硬膜外麻酔による鎮痛分娩を提供帝王切開術における腰椎麻酔・硬膜外麻酔を実施 |
平成30年5月12日 | LA Solutions(※)主催の「安全のための無痛分娩講習」受講受講 ※LA= Labor Alnalgesia(産科麻酔)の略 |
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平成30年5月13日 | J-CIMELS 日本母体救命システム普及協議会開催 母体救命講習会ベーシックコース受講 |
平成30年5月13日 | J-CIMELS 日本母体救命システム普及協議会開催 母体救命講習会硬膜外麻酔コース受講 |
平成30年11月10日 | J-CIMELS 日本母体救命システム普及協議会開催 母体救命講習インストラクターコース受講 |
令和元年5月25日 | J-CIMELS 日本母体救命システム普及協議会開催 母体救命講習アシスタント J-CIMELS 日本母体救命システム普及協議会 講習会インストラクター認定 |
令和3年6月2日 | JALA カテゴリA講習受講修了 |
令和5年8月18日 | JALA カテゴリA講習[2023年版]受講修了 |
平成19年(2007年) | 東北大学病院麻酔科にて麻酔科研修婦人科を含む各科の手術における全身麻酔、硬膜外麻酔、腰椎麻酔を実施 |
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平成30年5月12日 | LA Solutions(※)主催の「安全のための無痛分娩講習」受講受講 ※LA= Labor Alnalgesia(産科麻酔)の略 |
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平成30年5月13日 | J-CIMELS 日本母体救命システム普及協議会開催 母体救命講習会ベーシックコース受講 |
平成30年5月13日 | J-CIMELS 日本母体救命システム普及協議会開催 母体救命講習会硬膜外麻酔コース受講 |
LA Solutions 受講証明書
母体救命講習会ベーシックコース
修了書
母体救命講習会ベーシックコース
インストラクター認定書
計画分娩、自然陣発いずれにも対応します。ただし原則として平日日勤帯のみ。その他クリニックの体制や診療状況によってはご希望に添えない場合があります。
希望者に外来にてお渡し、実施にあたってはご本人とご家族に同意書を頂きます。(令和6年1月改訂)
※「無痛分娩」は俗称です。最近では和痛分娩、鎮痛分娩とも呼ばれています。
※痛みの感じ方は個人差が大きいため
十分な麻酔効果が得られていても、圧迫感などを「痛み」として感じることがあります。
出産には必ず陣痛が必要です。お腹を痛めて生んだわが子ほど愛情が湧くものだという考え方は素晴らしいと思います。しかしながら辛く苦しい痛みに耐えることだけが正しいわけではありません。女性であれば「痛みがなく出産できればいいのに」と思うのが自然です。陣痛を和らげるためにラマーズ法、ソフロロジー、アロマなどいわゆる医療介入を必要としない和痛はさまざま行われていますが、麻酔を適切に用いることによって痛みのレベルを効果的に下げることできます。これが「鎮痛分娩」です。
あなたのお母様をはじめ、これまで日本において経腟的に出産された多くの女性が経験している分娩方法はいわゆる「無痛分娩」ではありません。陣痛は、ほとんどの女性が耐えられる痛みです。そして、赤ちゃんに会えた瞬間に痛みを忘れてしまうことも珍しくありません。どうぞ自信を持ってください。T’sで初産婦さんに「はじめから鎮痛分娩をすることはお勧めしない」という理由はここにあります。
分娩時の痛みは大きくふたつに分けられます。ひとつは赤ちゃんを産道から出してあげるために子宮が強く収縮する痛みで、もうひとつは赤ちゃんが産道(骨盤、子宮口、腟)を通過するときに周りの組織を押し広げようとするときの痛みです。
当院で提供している麻酔方法には①背中から針を刺して「くも膜下腔」という場所にお薬を注入する方法(脊椎麻酔)と、②「硬膜外腔」に細いカテーテルを挿入し麻酔のお薬を注入する方法(硬膜外麻酔)、さらにその組み合わせCSEA(①+②)がございます。実施するタイミングと分娩の進行状況に応じて選択させていただきます。
(あとで「知らなかった」「説明を受けていない」などということがないように、必ずよくお読みください。不安な点があれば事前にお申し出ください。)
合併症や副作用には、特に心配のない軽いものや、時間とともに治るものから、とても頻度は少ないのですが起こってしまうとママの体に後遺症を残してしまうような重篤なものまでありますのでご家族にもよく理解していただく必要があります。
尿意がわからなくなったり鈍くなったりします。定時の導尿が必要となる場合があります。
麻酔中は(特に腰椎麻酔やCSEAの場合)、下肢の知覚異常や運動制限がでることがありますので自由な歩行ができません。
脊椎麻酔や硬膜外麻酔では、予期せず母体の血圧が著しく低下することがあります。
特にお腹が大きい産婦さんの場合には、仰臥位(仰向け)の姿勢になるだけでも血圧が下がりやすいため、とても注意が必要です。
多くの場合は一時的な現象で、姿勢の変換や補液、昇圧剤の投与で速やかに軽快しますが、まれに胎盤への血流が著しく減少することにより胎児機能不全を生じることがあります。
このときの胎児心拍モニタリングなどの検査で胎児仮死徴候が明らかな場合には速やかに帝王切開術を行い赤ちゃんの救命を行う必要があります。
背中に針を刺して、カテーテルを挿入した部分には程度の差こそあれ痛みが生じます。
表面近くの痛みはカテーテルを抜いてから数日以内に消失することが多いのであまり心配は要りません。
背中から硬膜外腔に針を刺すときやカテーテルを抜くときに、血管を傷つける場合があります。
特に妊娠中は脊髄の近くの血管が太く張るために危険度が高くなります。
少量の出血であれば異常を生じることは少ないのですが、深いところでの出血が多く「血腫:けっしゅ」という血の塊ができてしまうと、脊髄神経を圧迫し続けることになります。
特に、下半身の運動機能を支配している神経が圧迫を受けると、後遺症として下半身の麻痺が残る場合があるといわれています。
頻度はとても少ないのですが起こると重篤な症状で、速やかに椎弓(背骨の一部)を切除して神経への圧迫を取り除かなくてはなりません。
このためもしも異常出血と判断した場合には適切な検査や治療を受ける必要がありますので高次施設へ搬送転院となる場合があります。
カテーテルを挿入するときに、きちんと正しい位置に入っているかどうかがとても大切です。このためカテーテルを挿入する際には血液や髄液の逆流がないかどうかなど細心の注意を払って行います。ところが挿入したときには正しい位置に入っていても、ママの体が身体を動かすうちにカテーテルが血管内や髄膜腔に迷入してしまうことがあります。髄膜腔にカテーテルが入った状態で麻酔薬を継続して投与してしまうと、必要以上に麻酔レベルが上昇し呼吸困難や重篤な場合には呼吸停止や心停止を生じる危険があり、カテーテルが血管内に入ってしまい血管の中に直接注入される薬の量が増えると、麻酔薬の中毒症状として痙攣が起きたりします。
当院では、予防のために一度に注入する麻酔薬をできるだけ少なくし、患者様に異常な症状がないかを尋ねています。「耳鳴りがする。金属のスプーンをなめたような味がする。脚が急に重くなる。足が動かせない※脊椎麻酔を除く」もしもこのような症状がある時はすぐにお知らせください。カテーテルの位置を確認し、再度挿入しなおすか、中止するかを判断します。
カテーテルの先が脊髄神経根に触れたり圧迫すると、刺した場所とは離れた部分(側腹部、臀部、下肢など)に「ピリッ」「ビリッ」と電気が走るような痛みを感じることがあります。これもカテーテルを挿入してしばらくしてから生じることがあります。ママの体動によってカテーテルの先端が動くためです。一時的なものであればカテーテルを移動したり抜いてしまうと比較的早く治る(直後~数日後)ことが多いのですが、長時間圧迫を受けるとそのあとずっと症状が残ってしまう場合があります。1か月検診の頃にもまったく症状が変わらない場合はお知らせください。専門医にご紹介いたします。
針を刺したところから細菌などが入り、繁殖してしまうと赤みをおびて痛みが生じます。ひどくなると膿瘍を形成してしまいます。
穿刺時には広範囲を消毒しすべて滅菌した器械を用いてカテーテルを挿入します。お薬の注入の際にも不潔にならないよう細心の注意を払います。カテーテル挿入中は抗菌薬を服用していただきます。
特に分娩の後半に生じる痛みを除きすぎると、赤ちゃんを産むために必要十分な陣痛が得られず、分娩が停滞し所要時間が長くなります。必要に応じて陣痛促進剤の投与を行います。
また、赤ちゃんが産道を通るときの進み方が異常となる「児頭回旋異常」が生じやすくなるといわれています。胎児心拍数図の異常を伴う(胎児機能不全)場合や分娩進行が停滞する場合には、進行状況に応じて吸引分娩や帝王切開などの急速遂娩を行います。回旋異常や児頭骨盤不均衡によって産道通過が困難と判断した場合には帝王切開分娩となります。
麻酔の効果が出てから、効き具合によって一部分だけ軽いしびれや感覚が鈍くなる症状を感じることがありますが多くの場合麻酔終了後には速やかに消失しますので心配ありません。
長時間麻酔を併用すると、産後の母乳分泌に遅れが生じるという報告があります。母乳分泌が遅れると、赤ちゃんに必要な栄養が与えられず赤ちゃんの健康を損なう場合があります。このためきちんと母乳分泌と赤ちゃんの体重増加が確認できるまで退院が延期となる場合がございます。
麻酔開始後は、原則として絶飲食とし補液を行います。
自然に陣痛が発来し、子宮口が4cm程度まで開大している状態で麻酔を行います。順調に進行すれば数時間、多くは24時間以内に出産となります。(経産婦さんにお勧めです。)
外来で健診の際に子宮口の開き具合を診察し、子宮口が少し開いてきた時点で入院していただき、麻酔を行います。(多くは妊娠39週~41週)多くの場合、陣痛促進剤の投与が必要となります。有効な陣痛が得られるまでの所要時間には個人差があり、分娩まで数日かかる場合もあります。
産科医、麻酔科医、小児科医が多数常駐している総合病院レベルの施設と異なり、24時間いつでも麻酔が実施できる体制ではございません。従いまして、T’sでは「鎮痛分娩」を希望される方に対しで「必ず実施します」というお約束は致しかねますことをご了承ください。安全に「鎮痛分娩」を行うために、夜間や休日、さらに外来診療や他の分娩や手術が同時進行になった場合などは実施できないなど、ご期待に副えない場合もございます。
ウエブサイトの更新日時 2024年1月14日